緊張型頭痛と聞いても、あまりピンとこないかもしれません。あまり聴き慣れない頭痛の名前ですが、実は日本人の30%以上は一生で一度は経験すると言われています。
頭痛でお悩みのあなたは、もしかしたら緊張型頭痛による症状が出ている可能性があります。ここでは、緊張型頭痛の症状についてご紹介します。
緊張型頭痛に特有の症状は以下になります。
- 頭全体を締め付けるような痛み
- ズーンとした鈍い頭の痛み
- 頭痛とともに首や後頭部に痛みが出ることがある
- 痛みが数日間続いたり、毎日のように痛みがでたりする
- 運動後や入浴後に痛みが軽減する
これらの症状が多く当てはまるほど、緊張型頭痛の可能性が高いと言えます。

緊張型頭痛は、その原因から現代病とも言われています。
それでは、なぜ現代人に緊張型頭痛の方が多いのでしょうか。それは、緊張型頭痛の原因は「ストレス」と「悪い姿勢」だからです。
緊張型頭痛を改善するためには、まず原因を良く知らなければなりません。この2つの原因について、それぞれ解説していきます。
21緊張型頭痛の原因「ストレス」
現代社会はストレスを抱えやすい環境になっています。例えば、会社でのストレスや人間関係での悩み、家庭での問題など、人によって様々なストレスの元となる原因を抱えています。
また、ストレスとひとことで言っても、精神的なものだけではありません。ストレスの種類には、上に挙げた「精神的ストレス」の他に、「身体的ストレス」もあります。
身体的ストレスの原因としては、長時間労働による身体の疲れや、パソコンやコンビニなどの照明に使われるブルーライト、運動不足や不規則な生活などがあります。現代の日本社会は、精神的ストレスだけでなく身体的ストレスも抱えやすい環境となっています。
- 精神的ストレス:会社や家庭、人間関係での悩みや問題によって精神的に疲弊する
- 身体的ストレス:長時間労働やパソコン作業、運動不足、不規則な生活による肉体的な疲労
精神的なストレスと身体的なストレスは密接に関係しています。心と身体は、私たちが思っているよりも影響し合うものなのです。
例えば、風邪を引いたり体調があまり良くない時に、落ち込みがちになった経験をしたことがあるのではないでしょうか。また、失敗して落ち込んでいる時などは、身体も重たく感じることがあることでしょう。
身体的なストレスを感じている時には、少なからず精神的にもダメージを受けていると言えますし、その逆もしかりです。
精神的ストレスが溜まると脳が正常に働かなくなり、痛みの調整ができなくなってしまうことで緊張型頭痛が発生すると言われています。また、身体的ストレスは、次でご説明する「悪い姿勢」の原因となります。
22緊張型頭痛の原因「悪い姿勢」
緊張型頭痛の2つ目の原因は、姿勢が悪いことだと言われています。現代社会では、どうしても悪い姿勢をとってしまいがちな状況が少なくありません。
仕事でパソコンを使うことが多くはないですか。パソコン作業では、モニターを見るために顔を下げたり上げたり、顎を突き出したりする姿勢になってしまいがちです。実はこの姿勢こそが、緊張型頭痛の原因となる「悪い姿勢」なのです。

顎を突き出したり顔を下げたりしている姿勢では、首に大きな負担がかかります。頭の角度を15°下げると首には12㎏程度の重さが加わり、そこからさらに15°ずつ下げるごとに6㎏ずつ負担がかかってしまうと言われています。
そのような姿勢を常に続けていると、首には10㎏以上の負担がずっとかかっていることになります。頭の重さは5㎏ほどあるので、頭が肩の前方にある姿勢を保つためには、首の後ろの筋肉や背中の筋肉が常に頑張っていなければなりません。
そうすると、首・背中の筋肉が凝り固まってしまい、いわば筋肉がずっと緊張している状態となります。
筋肉の緊張が高い状態が続くと、筋肉のなかに乳酸という物質が蓄積されます。この乳酸には、周囲の神経を刺激する性質があり、それが緊張型頭痛を引き起こしてしまいます。
緊張型頭痛の原因は、「ストレス」と「悪い姿勢」です。緊張型頭痛を治療するには、この原因にアプローチすることが重要となります。
緊張型頭痛の治療は、重度であれば病院での服薬治療や専門的な治療が必要です。病院で行う緊張型頭痛の治療は以下になります。
- 精神的ストレスの治療:抗うつ薬の処方、認知行動療法など
- 身体的ストレスの治療:筋弛緩薬の処方、運動療法など
緊張型頭痛は一般的に、日常生活に支障が出るほど症状が重度となることは少ないです。緊張型頭痛を持っている方のほとんどは、自覚症状が無いほど軽度であるか、普段の生活のなかで対処しているようです。したがって、緊張型頭痛で通院している方は、よっぽど頭痛に悩まされていると言えるでしょう。
それほど重度な緊張型頭痛であれば、薬の処方や専門的治療が行われます。精神的ストレスはとても大きく、うつ病などにかかっている可能性も高いでしょう。そのため、抗うつ薬などの精神薬で精神的ストレスを緩和させる治療を行います。また認知行動療法などの精神面にアプローチをする専門的な治療を行うこともあります。
身体的ストレスの面では、通院レベルの緊張型頭痛患者では、背中や首・後頭部のコリがとても強くなっていることでしょう。そういった方の場合、筋弛緩薬などコリをとることができる薬が処方されたり、専門家による運動療法で筋肉の柔軟性を上げたりといったアプローチがとられます。
しかし、先ほどもお伝えしたように、緊張型頭痛はほとんどのケースで、日常生活で予防・改善できるものです。部分的には、整体などに通った方が効率的に改善するかもしれませんが、基本的には日常のなかの少しの心掛けで改善が見込めます。緊張型頭痛の予防・改善方法については次からご説明します。
緊張型頭痛の原因は、「ストレス」と「悪い姿勢」です。そして、これら2つの原因は日常生活が元となっていますよね。したがって、緊張型頭痛を予防したり改善したりするためのヒントも、普段の過ごし方に隠されています。
緊張型頭痛を予防・改善する方法は、今すぐ取り組めるものばかりです。
- ストレッチや軽い運動
- 入浴・身体を温める
- こまめに身体を伸ばす
ストレッチや軽い運動には、精神的ストレスを解消し、気持ちを前向きにする効果があるとされています。身体を伸ばしたりジョギングをした後に、気分がスッキリしたという経験はありませんか。ストレッチや軽い運動には、身体的ストレスや悪い姿勢によって凝り固まった筋肉をほぐす効果もあるため、緊張型頭痛を改善するためには抜群です。
また、入浴をしたり身体を温めたりすることも、緊張型頭痛には良い効果をもたらします。筋肉は、温めると緊張が緩くなる性質があります。実際にリハビリや整骨院などでも、「温熱療法」と呼ばれています。
ゆっくりと入浴することで、全身の筋肉の緊張が解きほぐされます。また、仕事中など入浴できないときであっても、身体(特に首)を温めることで、その周囲の筋肉は緩まります。先ほどもお伝えしたとおり、心と身体は密接に影響し合います。身体の緊張が解きほぐされれば、心もリラックスできることでしょう。
仕事や作業中にこまめに身体を伸ばすように心掛けることもオススメです。筋肉は動かされないとそのままの状態で固まる性質があります。パソコン作業など同じ姿勢が続く状況であっても、最低でも1時間に1回は軽いストレッチを取り入れましょう。
普段の生活のなかで、これらのちょっとした心掛けを意識的に行うだけでも、緊張型頭痛は少しずつ予防できたり改善したりするはずです。「もしかしたら緊張型頭痛かも」と、心当たりのある方は、ぜひ取り入れてみてください。