つぐ先生の頭痛のトリセツ

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タイプ別頭痛の対処法

頭痛が起こる仕組みとは?頭痛が起こりやすいのはこんな人!

頭痛に悩まされている方は多く、現在日本人の4人に1人は何かしらの頭痛を抱えていると言われています。そんな「頭痛大国」とも言える日本に住んでいると、頭痛を身近に感じる方も多いことでしょう。
しかし、頭痛が起こる仕組みやメカニズム、その改善方法などは意外なほどに知られていません。「頭痛は当たり前のもの」と半ば諦めてはいる方も少なくないはずです。
今回は、頭痛に対しての基本的な知識として、頭痛が起こる仕組みや頭痛の種類、それぞれの原因について解説します。また、頭痛が起こりやすいとされる人の特徴もご紹介するので、あなたはそれに当てはまっていないか確認してみてくださいね。

1頭痛はどんな仕組みで起こるのか

友人や家族など、周りの人でも「頭痛持ち」の方が1人はいるのではないでしょうか。頭痛は誰でも一度は経験するもので、身近な症状だと言えるでしょう。そんな頭痛はどのような仕組みで起こっているのでしょうか。
頭痛の種類は思いの他たくさんあり、それぞれ原因やメカニズムは違います。しかし、ほとんどの頭痛で共通しているのは、血管の拡張とそれにともなう周囲の炎症です。
脳のなかには栄養や酸素を送るための太い血管が張り巡らされており、何らかの原因で血管が拡張されると、血管の周囲の組織が無理に押し広げられてしまいます。そうすると、その組織が炎症を起こしてしまい、炎症が神経などを刺激することで痛みが発生します。
また、肩こりや首の筋肉が固くなることでも頭痛は引き起こされます。筋肉が強張っている状態が続くと、筋肉のなかに乳酸が溜まり、それが神経を刺激することもあります。
脳のなかに腫瘍が出きたり、出血などで血が溜まったりすることで、脳を圧迫して頭痛を引き起こすケースもあります。

  • 血管の拡張とそれにともなう炎症が引き起こす頭痛
  • 首や肩の筋肉が固くなり、溜まってしまった乳酸が引き起こす頭痛
  • 脳内の腫瘍や出血などが脳を圧迫することで起こる頭痛

他にも、いまだに仕組みやメカニズムが解明されていない頭痛も多くあります。

2頭痛が引き起こされる原因とは

頭痛が引き起こされる原因とは

一般的な頭痛が引き起こされる原因は、「ストレス」や「悪い姿勢」「生活の乱れ」の3つが挙げられます。
ストレスが溜まると、脳の血管を収縮させるセロトニンという物質が出ます。脳内にあるセロトニンは元々少しの量しかないため、すぐに欠乏します。その時に急激に血管が拡張してしまい、頭痛が引き起こされると考えられています。
また、ストレスや悪い姿勢は、首や背中の筋肉を固くします。先ほどお伝えしたとおり、筋肉が固くなると乳酸が溜まってしまい、それが神経を刺激することで頭痛の発作が起こってしまいます。
生活の乱れも頭痛の原因となります。睡眠リズムが乱れていたり偏った食生活を続けたりすると、自律神経という神経のバランスが崩れます。自律神経は身体の調子を整える働きがあり、血管の収縮や拡張もコントロールしています。自律神経が乱れると、血管が過剰に収縮したり拡張したりしてしまい、その結果血管周囲の炎症を引き起こし、頭痛が起こってしまうのです。

3頭痛は3つに分類される

頭痛は、病気や出血など原因がはっきりと分かるものもあれば、未だに解明されていないものも多くあります。また、いろんな原因が組み合わさって起こる原因もあります。
頭痛は、原因の分かるもの、分からないもの、その他の3つに分類されています。ここでは、現時点で分類されている頭痛について見ていきましょう。

  • 慢性頭痛:原因がはっきり分からない頭痛(片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛)
  • 危険な頭痛:病気や出血など明確な原因のある頭痛(クモ膜下出血や脳腫瘍など)
  • 日常的な頭痛:誰もが経験する頭痛(風邪や二日酔いなど)
31慢性頭痛

慢性頭痛は一次性頭痛と呼ばれている頭痛で、頭痛そのものが病気とされるものです。片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛などがあげられます。
慢性頭痛は人によって引き起こされる原因が違ったり組み合わさっていたりします。特に片頭痛と緊張型頭痛の症状が同時に起こっている方も少なくありません。
慢性頭痛は、人それぞれで起こるメカニズムが違っていることから、その症状の出方にも個人差がみられます。つまり、人によって頭痛の痛みの強さが違ったり、頭痛の出る箇所がバラバラだったりするのが慢性頭痛の特徴です。
慢性頭痛は、原因やメカニズムがはっきりと分かっておらず、症状に個人差が大きいことから、治療の内容もその人に合わせた方法をとります。原因を直接治療するのが難しく、基本的には症状を緩和することを目指します(対症療法)。

32危険な頭痛

危険な頭痛の多くは、二次性頭痛と呼ばれ、頭痛が他の病気の一症状となっているものです。脳内の腫瘍や出血、感染症などが頭痛を引き起こす原因となる場合が多いです。
危険な頭痛(二次性頭痛)は、慢性頭痛に対して急性に発症します。つまり、急激な強い頭痛として現れるケースが多いです。そして、頭痛の原因となる病気や出血、感染症も一気に悪化してしまうことが多く、そのまま放置すると命にかかわることになります。
危険な頭痛は、原因が明確であるため、原因となる腫瘍や出血、感染症などを直接治療することになります(原因治療)。さらに、危険な頭痛の多くは緊急処置を要する病気や外傷なので、緊急手術や投薬治療を行うことになります。

33日常的な頭痛

日常的な頭痛とは、誰もが経験するような風邪や二日酔いなどの頭痛です。「昨日は呑みすぎたから頭が痛いな」といった経験をしたことが一度はあるのではないでしょうか。
日常的な頭痛は、一時的なもので数時間~数日間で改善することがほとんどです。安静にしていれば治るものもあれば、痛みが強くても市販薬で対処できるケースがほとんどでしょう。

4頭痛が起こりやすい人の特徴

慢性頭痛と言われる片頭痛や緊張型頭痛、群発頭痛を発症する方には一定の共通した特徴があります。それぞれ頭痛の起こるメカニズムは違いますが、生活習慣や日常生活の過ごし方などは似通っている部分があるようです。
それでは、頭痛が起こりやすい人の特徴とはどのようなものなのでしょうか。以下に記します。

  • 長時間労働や残業が多い
  • 不規則な生活を送っている
  • 偏った食生活
  • 疲れがとれない
  • 大きな悩みを抱えている
  • 喫煙や飲酒の習慣がある
  • 運動不足・身体が固い
  • 姿勢が悪い
  • 両親や兄弟(姉妹)が頭痛もち

頭痛が起こりやすい人の特徴

これらの特徴に当てはまる数が多いほど、慢性頭痛を発症する可能性が高いでしょう。頭痛を発症する原因として、体質や遺伝などの要因が関わっていると考えられていますが、普段の生活の要因も大きく影響します。
これらの生活習慣が引き起こす頭痛の原因とは、「ストレス」です。ストレスは頭痛に限らず、様々な病気の元となり得るものであり、健康な身体の最大の敵と言えます。
ストレスとひとことで言っても、精神的なストレスだけでなく身体的なストレスもあります。精神的なストレスは、身体にも悪影響を及ぼします。実際にうつ病を患っている方の身体は固いことが多いです。
逆に言えば、上に挙げた生活習慣と反対の生活を送るように意識することで、健康的な精神や身体を得ることができます。例えば、規則正しい生活や充実した食事、適度な運動、禁煙・禁酒を心掛けることで、頭痛の発症を予防することができるのです。
頭痛が起こりやすい人の特徴に当てはまってしまった方は、ぜひ生活を改めるようにしてください。また、すでに頭痛を抱えている方も同じく、これらの生活習慣を避けるようにすると改善が見込めることでしょう。
それぞれの頭痛についての原因や改善方法などは、当サイトでご紹介しているのでぜひ参考にしてみてくださいね。

もしかしたら片頭痛かも?片頭痛の症状や原因とは

「ときどき頭がズキズキする」「頭の片方が痛い」などの症状は出ていませんか?もしかしたら、あなたは片頭痛持ちかもしれません。
片頭痛は、たくさんの種類がある頭痛のなかでも一般的です。実際に、日本人の8%の方が片頭痛に悩まされていると言われています。もしかしたら、あなたのお友達のなかにも片頭痛に悩まされている方がいるのではないでしょうか。
片頭痛はその痛みの程度の個人差が大きく、軽度な痛みの方もいれば、日常生活に支障をきたすほどの痛みで悩んでいる方も少なくありません。今回は、そんな片頭痛についての解説や、予防・改善方法などもご紹介したいと思います。

1片頭痛の症状とは?片頭痛のチェックリスト

まずは、あなたの頭の痛みが片頭痛によるものなのかを知るために、片頭痛の症状について見ていきましょう。片頭痛でみられる特徴的な症状を書き出していきます。もし、この当てはまる症状が多ければ、あなたは片頭痛持ちかもしれません。
片頭痛の症状は以下になります。

  • 拍動性の痛み:心臓の鼓動に合わせて、ズキズキと頭が痛む
  • 片側性:頭の左側、もしくは右側のどちらか片側が痛む(両側性のこともあり)
  • 痛みが数時間~数日間続く
  • 普段は頭の痛みは全くなく、ときどき痛くなる
  • 痛みが強く、身動きがとれなかったり嘔吐したりする(個人差があります)
  • 痛みが出ている間、まぶしさや音、においに過敏になる

片頭痛の症状や痛みの程度は非常に個人差が大きく、しばらく放置しておけば痛みが引く程度の軽度な方から、寝込んでしまうほどの重度な方までいます。片頭痛が軽度な方であっても、なにも対処しなければ将来的に痛みが強くなってしまうこともあるようです。
したがって、このチェックリストを参照し、まずはあなた自身が片頭痛であるかどうかを知っておきましょう。片頭痛に当てはまっている方が行うべき治療や予防・改善方法については、後ほどご説明します。

2「目がチカチカする・・・」片頭痛の前兆かも

「目がチカチカする・・・」片頭痛の前兆かも

片頭痛を持っている方のうち、20%~30%の方に特徴的な前兆がみられると言われています。この前兆は片頭痛特有のものであり、頭痛の前にこの兆候がみられる方は片頭痛である可能性が高いと言えるでしょう。
それでは、片頭痛でみられる特徴的な前兆とはどのようなものなのでしょうか。その前兆とは、「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれるものです。
具体的にどのような兆候なのかと言うと、よく例えられるのが「カメラのフラッシュ」です。目の前でカメラのフラッシュをたかれたかのように、視界が一瞬チカっと光ったように感じます。また、「ギザギザな光が見える」という表現を使われることも多いようです。
この片頭痛の前兆である閃輝暗点は、5分~20分間続くことが多く、長くても60分以内には消失します。そして、閃輝暗点が出現中から出現してから60分以内に片頭痛が出現します。
この閃輝暗点が見えた後、どのくらいで片頭痛が出るかについては個人差があります。片頭痛を持っている方のなかには、この特徴的な前兆から「もう少しで片頭痛が出るな」と予測している方もいるようです。

3片頭痛の原因について

片頭痛に悩まされている方にとって、気になるのがその原因なのではないでしょうか。「この異常な頭の痛さは、何が原因で起こっているんだろう」と思うのも当然のことでしょう。
しかし、残念ながら片頭痛の原因は、はっきりと解明されていないのが現状のようです。ただし、片頭痛が起こるメカニズムについて有力な仮説が立てられています。

31片頭痛の原因とされる「三叉神経血管説」とは

片頭痛の原因とされている仮説は、「三叉神経血管説」と呼ばれています。三叉神経はあまり聞き慣れないものですが、顔の皮膚の感覚や筋肉の働きから、目や口、鼻の粘膜の感覚までをカバーするとても大切な神経です。
この三叉神経は、脳のなかの太い血管や脳を被っている硬膜の血管の周りにあります。なんらかの原因でこれらの頭蓋内血管に分布する三叉神経が刺激されると、血管作動性物質が放出されてその血管が拡張します。無理に拡張された血管のまわりは炎症を起こし始めるとともに(神経原性炎症)、三叉神経は痛みの原因となる物質を出す性質があるため、さらに痛みが強くなってしまうという悪循環が生まれます。
また、三叉神経が出した痛みの原因となる物質は、脳の聴覚や視覚、嗅覚、嘔吐中枢にも伝達されてしまいます。それにより、まぶしさや音、においに過敏になったり、嘔吐してしまったりといった症状が引き起こされるのです。

4片頭痛の治療

片頭痛の治療の方法は、その症状の重さによって変わってきます。ここでは、症状が重い場合と比較的軽い場合に分けて見ていきましょう。

41片頭痛の症状が重い場合の治療

片頭痛の症状が重く、日常生活に支障が出てしまうレベルの方は、病院で処方される薬によって治療します。片頭痛で処方される薬は人それぞれ異なりますが、ここでは処方されることの多い2種類の薬をご紹介します。

  • 頓挫薬:片頭痛が出てきたら服用する薬
  • 予防薬:片頭痛が出ていない時でも毎日服用する薬

頓挫薬はトリプタン系薬剤という薬がよく処方されます。頓挫薬は片頭痛の症状が出始めたら飲む薬です。この薬は、血管周囲の炎症、血管の拡張、三叉神経から出される痛み物質の3つを抑えることができるため、痛みの元全てに対して効果があるとされています。また、一般的なアセトアミノフェンや非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)もよく用います。
それでも頓挫薬では対処しきれないような重度の方には、予防薬が服用されます。予防薬は文字どおり片頭痛が出ないようにする薬です。しかし、この薬を毎日服用することで、身体には大きな負担がかかってしまいます。したがって、症状の改善がみられたら徐々に減らしていくなどの対応をすることがほとんどです。

42片頭痛の症状が軽い場合の治療

片頭痛の症状が軽い場合は、サプリメントや漢方、食事からの栄養摂取で治療します。
サプリメントでの治療は、ビタミンB2を積極的に摂取する方法をとります。ビタミンB2は片頭痛の改善が期待できる効果が見込まれています。
食事治療においても、主にビタミンB2を意識的に摂るようにします。ビタミンB2が含まれている食品としては、納豆、レバー、ウナギ、乳製品が挙げられます。
漢方治療では、呉茱萸湯や五苓散などが片頭痛に効果があるとされています。

5片頭痛の予防法とは?片頭痛の改善のために

片頭痛の治療についてご説明しましたが、片頭痛の症状を予防・改善するためには日ごろの心掛けも大切です。ここでは、日常生活で取り入れることのできる片頭痛の予防や改善方法をご紹介します。
片頭痛を予防・改善するために取り組むべきことは以下の3つです。

  • ストレスの解消
  • 睡眠リズムの改善
  • 強い外的刺激を遮断する(光や音など)

片頭痛の誘因として、ストレスや生活リズムの乱れ、強い外部刺激が挙げられています。これらを解消、改善することができれば、現在の片頭痛の状態が少しずつ良くなっていくことでしょう。
例えば、精神的なストレスを解消するために、スポーツで身体を動かしたりレジャーを楽しむと良いでしょう。また、睡眠リズムを整えるために、決まった時間に寝たり夜更かしをしないようにしたりといった心がけも大切です。寝不足はもちろんですが寝過ぎも片頭痛を起こしてしまいます。
まぶしさや大きな音といった強い外的刺激も片頭痛の誘因となります。たまにカラオケに行ったりまぶしいライトを見たりする分には問題ありませんが、日常的にそれらの刺激に触れることは危険です。どうしてもそのような環境が避けられないのであれば、耳栓をしたりサングラス(弱い緑色の光が良いとされます)を着用したりするなどし、刺激を軽減させるようにしてみましょう。
これらの予防・改善方法に取り組んでも片頭痛が改善しない場合は、症状が重度化していることも考えられます。片頭痛は比較的一般的な症状なのでどうしても放置してしまいがちですが、重度化していくと日常生活でも大きな負担となってしまいます。そのような場合、病院を受診し医師の判断を仰ぐことも検討しましょう。

緊張型頭痛とは?現代人に多いとされる緊張型頭痛の症状や改善方法

1緊張型頭痛ってなに?緊張型頭痛の症状とは

緊張型頭痛と聞いても、あまりピンとこないかもしれません。あまり聴き慣れない頭痛の名前ですが、実は日本人の30%以上は一生で一度は経験すると言われています。
頭痛でお悩みのあなたは、もしかしたら緊張型頭痛による症状が出ている可能性があります。ここでは、緊張型頭痛の症状についてご紹介します。

緊張型頭痛に特有の症状は以下になります。

  • 頭全体を締め付けるような痛み
  • ズーンとした鈍い頭の痛み
  • 頭痛とともに首や後頭部に痛みが出ることがある
  • 痛みが数日間続いたり、毎日のように痛みがでたりする
  • 運動後や入浴後に痛みが軽減する

これらの症状が多く当てはまるほど、緊張型頭痛の可能性が高いと言えます。

2緊張型頭痛は現代病!緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛は現代病!緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛は、その原因から現代病とも言われています。
それでは、なぜ現代人に緊張型頭痛の方が多いのでしょうか。それは、緊張型頭痛の原因は「ストレス」と「悪い姿勢」だからです。
緊張型頭痛を改善するためには、まず原因を良く知らなければなりません。この2つの原因について、それぞれ解説していきます。

21緊張型頭痛の原因「ストレス」

現代社会はストレスを抱えやすい環境になっています。例えば、会社でのストレスや人間関係での悩み、家庭での問題など、人によって様々なストレスの元となる原因を抱えています。
また、ストレスとひとことで言っても、精神的なものだけではありません。ストレスの種類には、上に挙げた「精神的ストレス」の他に、「身体的ストレス」もあります。
身体的ストレスの原因としては、長時間労働による身体の疲れや、パソコンやコンビニなどの照明に使われるブルーライト、運動不足や不規則な生活などがあります。現代の日本社会は、精神的ストレスだけでなく身体的ストレスも抱えやすい環境となっています。

  • 精神的ストレス:会社や家庭、人間関係での悩みや問題によって精神的に疲弊する
  • 身体的ストレス:長時間労働やパソコン作業、運動不足、不規則な生活による肉体的な疲労

精神的なストレスと身体的なストレスは密接に関係しています。心と身体は、私たちが思っているよりも影響し合うものなのです。
例えば、風邪を引いたり体調があまり良くない時に、落ち込みがちになった経験をしたことがあるのではないでしょうか。また、失敗して落ち込んでいる時などは、身体も重たく感じることがあることでしょう。
身体的なストレスを感じている時には、少なからず精神的にもダメージを受けていると言えますし、その逆もしかりです。
精神的ストレスが溜まると脳が正常に働かなくなり、痛みの調整ができなくなってしまうことで緊張型頭痛が発生すると言われています。また、身体的ストレスは、次でご説明する「悪い姿勢」の原因となります。

22緊張型頭痛の原因「悪い姿勢」

緊張型頭痛の2つ目の原因は、姿勢が悪いことだと言われています。現代社会では、どうしても悪い姿勢をとってしまいがちな状況が少なくありません。
仕事でパソコンを使うことが多くはないですか。パソコン作業では、モニターを見るために顔を下げたり上げたり、顎を突き出したりする姿勢になってしまいがちです。実はこの姿勢こそが、緊張型頭痛の原因となる「悪い姿勢」なのです。

緊張型頭痛の原因「悪い姿勢」

顎を突き出したり顔を下げたりしている姿勢では、首に大きな負担がかかります。頭の角度を15°下げると首には12㎏程度の重さが加わり、そこからさらに15°ずつ下げるごとに6㎏ずつ負担がかかってしまうと言われています。
そのような姿勢を常に続けていると、首には10㎏以上の負担がずっとかかっていることになります。頭の重さは5㎏ほどあるので、頭が肩の前方にある姿勢を保つためには、首の後ろの筋肉や背中の筋肉が常に頑張っていなければなりません。
そうすると、首・背中の筋肉が凝り固まってしまい、いわば筋肉がずっと緊張している状態となります。
筋肉の緊張が高い状態が続くと、筋肉のなかに乳酸という物質が蓄積されます。この乳酸には、周囲の神経を刺激する性質があり、それが緊張型頭痛を引き起こしてしまいます。

3緊張型頭痛の治療について

緊張型頭痛の原因は、「ストレス」と「悪い姿勢」です。緊張型頭痛を治療するには、この原因にアプローチすることが重要となります。
緊張型頭痛の治療は、重度であれば病院での服薬治療や専門的な治療が必要です。病院で行う緊張型頭痛の治療は以下になります。

  • 精神的ストレスの治療:抗うつ薬の処方、認知行動療法など
  • 身体的ストレスの治療:筋弛緩薬の処方、運動療法など

緊張型頭痛は一般的に、日常生活に支障が出るほど症状が重度となることは少ないです。緊張型頭痛を持っている方のほとんどは、自覚症状が無いほど軽度であるか、普段の生活のなかで対処しているようです。したがって、緊張型頭痛で通院している方は、よっぽど頭痛に悩まされていると言えるでしょう。
それほど重度な緊張型頭痛であれば、薬の処方や専門的治療が行われます。精神的ストレスはとても大きく、うつ病などにかかっている可能性も高いでしょう。そのため、抗うつ薬などの精神薬で精神的ストレスを緩和させる治療を行います。また認知行動療法などの精神面にアプローチをする専門的な治療を行うこともあります。
身体的ストレスの面では、通院レベルの緊張型頭痛患者では、背中や首・後頭部のコリがとても強くなっていることでしょう。そういった方の場合、筋弛緩薬などコリをとることができる薬が処方されたり、専門家による運動療法で筋肉の柔軟性を上げたりといったアプローチがとられます。
しかし、先ほどもお伝えしたように、緊張型頭痛はほとんどのケースで、日常生活で予防・改善できるものです。部分的には、整体などに通った方が効率的に改善するかもしれませんが、基本的には日常のなかの少しの心掛けで改善が見込めます。緊張型頭痛の予防・改善方法については次からご説明します。

4今すぐできる!緊張型頭痛の予防・改善法

緊張型頭痛の原因は、「ストレス」と「悪い姿勢」です。そして、これら2つの原因は日常生活が元となっていますよね。したがって、緊張型頭痛を予防したり改善したりするためのヒントも、普段の過ごし方に隠されています。

緊張型頭痛を予防・改善する方法は、今すぐ取り組めるものばかりです。

  • ストレッチや軽い運動
  • 入浴・身体を温める
  • こまめに身体を伸ばす

ストレッチや軽い運動には、精神的ストレスを解消し、気持ちを前向きにする効果があるとされています。身体を伸ばしたりジョギングをした後に、気分がスッキリしたという経験はありませんか。ストレッチや軽い運動には、身体的ストレスや悪い姿勢によって凝り固まった筋肉をほぐす効果もあるため、緊張型頭痛を改善するためには抜群です。
また、入浴をしたり身体を温めたりすることも、緊張型頭痛には良い効果をもたらします。筋肉は、温めると緊張が緩くなる性質があります。実際にリハビリや整骨院などでも、「温熱療法」と呼ばれています。
ゆっくりと入浴することで、全身の筋肉の緊張が解きほぐされます。また、仕事中など入浴できないときであっても、身体(特に首)を温めることで、その周囲の筋肉は緩まります。先ほどもお伝えしたとおり、心と身体は密接に影響し合います。身体の緊張が解きほぐされれば、心もリラックスできることでしょう。
仕事や作業中にこまめに身体を伸ばすように心掛けることもオススメです。筋肉は動かされないとそのままの状態で固まる性質があります。パソコン作業など同じ姿勢が続く状況であっても、最低でも1時間に1回は軽いストレッチを取り入れましょう。
普段の生活のなかで、これらのちょっとした心掛けを意識的に行うだけでも、緊張型頭痛は少しずつ予防できたり改善したりするはずです。「もしかしたら緊張型頭痛かも」と、心当たりのある方は、ぜひ取り入れてみてください。

群発頭痛とは?

群発頭痛とは?

群発頭痛をご存知でしょうか。あまり聞き慣れない頭痛の名前ですが、群発頭痛で悩む方は、日本だけでも1000人に1人はいるとされています。
「決まった時期にとても強い片側の頭痛が出る」「異常なほど頭が痛い」という症状が出ている方は、もしかしたら群発頭痛を発症しているのかもしれません。
群発頭痛は、症状や痛みの程度が特徴的な頭痛です。今回は、群発頭痛の症状や原因、予防方法などを解説します。

1「片目をえぐられるような痛み」群発頭痛の特徴的な症状とは

群発頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛と並んで慢性頭痛に分類されていますが、そのなかでも特徴的な症状がみられます。その特徴的な症状とは一体なんなのでしょうか。
それは、とにかく片側の強い痛みに襲われることです。群発頭痛を持っている方は、その痛みの強さから、発作時にのたうち回ったり頭を壁に打ち付けるような異常な行動を起こします。そのような異常な行動は、群発頭痛の痛みが激しすぎて静止していられないことから起こります。
群発頭痛の激しい痛みは、「片目をスプーンでほじくり出されるような痛み」であったり、「片目の裏を針で刺されるような痛み」といった表現をされているほどです。生きているうちに味わえる三大痛として、「心筋梗塞」や「尿路結石」と並べられるほど、群発頭痛は痛みが強いことで有名です。
群発頭痛の特徴的な症状は、上でご説明した強い痛みのほかにもいくつか挙げられます。

  • 1~2ヵ月の間、毎日痛みが出る
  • 痛みが出る時間はほとんど決まっている(夜中から朝方に起こることが多い)
  • 頭痛が15分~3時間ほど続く
  • 季節の変わり目など、決まった時期に起こる
  • 頭痛発作時に頭痛のある側の目に充血を認め、痛む側から涙や鼻水が出る

これらが群発頭痛でよくみられる症状です。特に、群発頭痛に特徴的なのが、痛みの出る周期です。半年から数年の周期で定期的に起こる方が多く、発作が一度起きるとそれから毎日頭痛にみまわれることになります。
そして、群発頭痛に悩まされる方のほとんどが20歳~40歳の男性だということも特徴として挙げられます。つまり群発頭痛は、働き盛りの男性に起こることがほとんどです(男性は女性の3~5倍)。
群発頭痛のもう一つの特徴は、頭痛にともなって痛む側の目になにかしらの症状がでることです。頭痛発作中には、涙が出たり目が充血したりするなどといった症状がみられます。また、頭痛側の鼻が詰まったり鼻水が多量に出る方もいます。
もしあなたが、決まった時期に毎日激しい片側の頭痛におそわれていて、その際に頭痛側の目が充血したり涙が出たりするのであれば、もしかすると群発頭痛を発症しているのかもしれません。

2群発頭痛の原因とは

のたうち回るような激しい頭痛をともなう群発頭痛ですが、その原因が気になるところだと思います。しかし、残念ながら群発頭痛の原因は今のところはっきりと解明されていません。
群発頭痛が引き起こされるメカニズムとして考えられているのが、内頚動脈周囲に起源を求める説や、視床下部に起源を求める説が挙げられますが、いずれにしても頭痛信号が三叉神経血管系を介することで群発頭痛が引き起こされるようです。
群発頭痛を発症している方の傾向をみることで、ある程度の誘因が分かってきています。それでは、群発頭痛を引き起こす誘因とは一体なんなのでしょうか。次の章でご説明していきます。

3群発頭痛の2つの誘因

群発頭痛を引き起こす誘因は2つ考えられています。群発頭痛を抱えている方は、ぜひ以下の誘因を避けるようにしてください。

  • アルコール
  • 気圧の変化

群発頭痛の2つの誘因

群発頭痛が起こる時期(群発期)にアルコールを摂ることで、頭痛が誘発されたりより強くなってしまったりすると言われています。群発頭痛を抱えている方は20歳~40歳の男性に多いということは先ほどご説明しましたが、そのなかでも特にアルコール飲料を多く飲む習慣がある方に発症割合が高いとされています。また、群発頭痛患者の喫煙率は一般人口の2~3倍であり、喫煙も群発頭痛発症にかかわっている可能性があります。
アルコールには血管を拡張させる効果があり、群発頭痛の直接的な誘因となると言えるでしょう。群発頭痛に限らず、他の頭痛にとってもアルコールはあまり良くないことがあります。
また、気圧の変化も群発頭痛の誘因となるとされています。気圧が高いと、身体にも圧力がかかります。外部から圧縮されるような圧力が身体にかかると、体内の圧も高まり、結果的に血管は収縮します。反対に、低気圧は血管が拡張するとされています。
天気が悪く気圧の低い日は、群発頭痛だけでなく片頭痛なども出やすいとされています。それはなぜかと言うと、脳のなかの血管が拡張してしまうからです。
群発頭痛は飛行機に乗ったときの急激な気圧の変化で引き起こされることがしばしばあります。どうしても乗らなければならない時もあるかと思いますが、群発頭痛を自覚している方はその期間はできるだけ飛行機での移動を避けた方が良いでしょう。

4群発頭痛は治療できるの?

今すぐにでも治したい群発頭痛ですが、治療することはできるのでしょうか。結論から申し上げると、根本的な治療は今のところまだ難しいとされています。
群発頭痛のメカニズムや原因は現時点ではまだ仮説の段階です。原因が分からない以上、根本的な治療はできないため、群発頭痛の治療は痛みをできるだけ和らげることを目的として行います。
群発頭痛の治療には、大きく分けて2つ挙げられます。

  • 薬物療法:トリプタン系薬剤(イミグラン注射薬・点鼻薬)
  • 酸素吸入:酸素吸入

片頭痛の頓挫薬で使われるトリプタン系薬剤が、群発頭痛に対しても一定の効果があるとされています。片頭痛の頓挫薬には血管収縮作用があるため、群発頭痛の原因となる血管拡張を抑えることができるのです。頓挫薬を服用するタイミングは、群発頭痛の発作が出始めた時です。
トリプタン系薬剤の中でもイミグラン注射が最も有効です。イミグラン注射は他のトリプタン系薬剤の中で最も早く血管を収縮させる効果があります。
もう一つの群発頭痛の特徴的な治療法となるのが、酸素吸入です。専用の酸素吸入器具を使用し、純度100%の酸素を15分間吸引すると、群発頭痛で悩んでいる方の80%に症状の緩和が認められるようです。この酸素吸入法も他の治療法と同じく、頭痛の出始めに行うことで効果が発揮されます。

5群発頭痛の予防法とは?群発頭痛を少しでも和らげるために

群発頭痛を発症してしまった方にとっては、その症状を少しでも和らげたいのではないでしょうか。その予防療法としていくつかの薬剤がありますが、なかなか有効なものが少ないのが現状です。ここでは、群発頭痛の症状を少しでも抑えるのに効果の見込める方法を3つご紹介します。

  • 入浴はシャワーで済ませる
  • 頭痛が出ている時期は絶対にお酒を飲まない。また禁煙を励行する
  • 痛みのある箇所を冷やす

入浴時に湯ぶねに浸かることで血管が拡張し、群発頭痛を引き起こしたり強くしたりしてしまう恐れがあります。群発頭痛が出ている時期(群発期)には、シャワーで済ませるようにしましょう。
また、群発頭痛が出ている時期(群発期)に飲酒するのは自殺行為です。1か月以上の禁酒期間になるかもしれませんが、それにより群発頭痛から早く解放されると思えば何とかなるはずです。
群発頭痛で痛む箇所を氷水などで冷やすこともおススメです。冷やすことで炎症を抑えたり血管を収縮させることができ、結果的に頭痛を抑えることができるかもしれません。
群発頭痛はその強い痛みの影響で気を病んでしまう方も少なくありません。群発頭痛は日常生活のなかで対応しきれる範囲の痛さではないケースがほとんどです。群発頭痛の疑いがある方は、ぜひ病院を受診してください。

危険な頭痛の見分け方とは!すぐに治療するべき頭痛の種類

今や日本人の4人に1人が頭痛で悩まされており、もはや国民病とも言えます。頭痛はありふれた症状であるため放置してしまいがちですが、なかには命にかかわる病気の兆候として表れているものもあるのです。
上手く付き合いつつ普段の生活で対処できる頭痛なのか、それとも一刻も早く治療しなければならない頭痛なのか。あなたの頭痛はどれに当てはまるのでしょうか。
今回は、命を脅かしかねない頭痛について見ていきましょう。

1危険な頭痛には病気が隠されている

今すぐ治療すべき危険な頭痛とは、一体どのようなものなのでしょうか。
頭痛とひとことで言っても、その種類や原因はたくさんあります。頭痛は、原因がはっきりしているものや、そうでないものなど、大きく分けて3種類に分類されています。

  • 一次性頭痛:頭痛そのものが病気とされるもの(片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛など)
  • 二次性頭痛:頭痛が他の病気の一症状となっているもの(くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などによる頭痛)
  • その他の頭痛:三叉神経痛や後頭神経痛など神経障害性疼痛やその他

一次性頭痛は慢性頭痛とも呼ばれており、一般的な頭痛です。片頭痛や緊張型頭痛など、日本人でも悩んでいる方の多い頭痛です。この一次性頭痛は症状の重さに個人差があり、入院治療が必要なレベルの方もいますが、基本的には通院治療を行いながら日常生活のなかで対処できるものです。
一方で、二次性頭痛に分類されている頭痛は、くも膜下出血や脳出血、脳腫瘍などの病気が原因となって引き起こされます。ほとんどの場合、この二次性頭痛には重篤な病気や脳内の異常が隠されているのです。
危険な頭痛とは、この二次性頭痛のことを指します。二次性頭痛が危険な頭痛と呼ばれている理由は、症状が急激に悪化してしまうことです。そして、見逃しておくと最悪の場合死に至る可能性も出てきてしまいます。
それでは、この危険な頭痛ではどのような症状が出るのでしょうか。危険な頭痛でみられる症状について次から解説していきます。

2危険な頭痛を見分けるポイントとは?どんな症状が出るの?

あなたが抱える頭の痛みが、危険な頭痛かどうかを見分けるためには、危険な頭痛でみられる症状を知っておく必要があります。以下の症状に多く当てはまる場合は、危険な頭痛である可能性が高いです。

  • 頭痛に突然おそわれる
  • 今までに感じたことのないレベルの激しい頭痛
  • 頭痛とともに発熱する
  • けいれんをともなう
  • 意識がもうろうとしたり、意識を失うことも
  • 手足のしびれをともなう
  • 頭の痛みと同時に激しく嘔吐する

これらの症状がみられるのであれば、あなたの頭痛は「危険な頭痛」であるかもしれません。
危険な頭痛の最大の特徴は、異常なほどの強い痛みです。特にくも膜下出血で引き起こされる頭痛は、「かなづち(バット)で後頭部を殴られたような痛み」と例えられるほどの強烈さだと言われています。
また、強い頭痛とともに現われる症状についても注意しなければなりません。危険な頭痛のほとんどは脳内の病気や異常によるものなので、神経症状などをともないます。例えば、手足のしびれやめまい、意識の混濁や消失などです。脳が圧迫されることで、嘔吐などが引き起こされることもあります。

3危険な頭痛で疑われる病気や異常

危険な頭痛がなぜ危険だと言われるのかと言うと、頭痛の裏に重篤な病気が隠されているからです。脳のなかの病気や異常が、頭痛となって表面に現れた結果が、危険な頭痛と呼ばれている二次性頭痛です。
それでは、この危険な頭痛にはどのような病気や異常が隠されているのでしょうか。危険な頭痛の原因となる病気や脳内の異常を以下に記します。

  • くも膜下出血
  • 脳動脈解離
  • 脳腫瘍
  • 慢性硬膜下血腫
  • 髄膜炎

これらが代表的な、危険な頭痛の元となる病気や脳内の異常です。

31くも膜下出血

くも膜下出血は、危険な頭痛の原因のなかでも、特に一般的なものです。くも膜とは、脳を覆う膜のことです。くも膜下出血とは文字どおり、くも膜の下(くも膜と脳の表面との間)で出血が起こることを指します。
くも膜下出血の多くは、脳動脈に発生した脳動脈瘤が破裂することで起こります。くも膜下出血では、「頭をかなづち(バット)で殴られたような激しい痛み」とともに、嘔吐や意識消失がみられます。

32脳動脈解離

脳動脈解離は従来、脳梗塞やくも膜下出血などの脳卒中を起こして発見されることが多いのですが、急に起こる頭痛がこの病気の主たる症状です。
一般に脳動脈の壁は三層構造から成り立っており、最も内側の膜に傷ができそこから血流が動脈壁の中に入り込み、動脈壁が裂けてしまう状態を動脈解離といいます。これが椎骨動脈におこったものが椎骨動脈解離とよばれ脳動脈解離のなかでももっとも好発します。特にどちらかの後頭部からうなじにかけて強く痛むのが特徴です。

33脳腫瘍

脳腫瘍による頭痛は、腫瘍が脳を圧迫することで引き起こされます。
脳腫瘍での危険な頭痛の特徴は、早朝に起こることが多いことです。そのため、「早朝頭痛」とも呼ばれています。
また、腫瘍が脳を圧迫することで、吐き気や嘔吐をともなうことも多いとされています。嘔吐をした後しばらくは楽になるのも特徴です。また、何度も頭痛を繰り返していると、目がかすんでくることもあります。
その他に、腫瘍ができている部位によって、手足がしびれたり動きにくくなったり、言葉が上手く話せなかったりといった症状を引き起こします。

34慢性硬膜下血腫

危険な頭痛のなかには、慢性硬膜下血腫が原因になるものもあります。硬膜とは、先ほどご説明したくも膜のさらに外側にある膜のことです。頭を打ったりしりもちをついたりなどし、硬膜の下で起こった出血がじわじわと脳を圧迫することで、危険な頭痛が起こります。
頭を打ったすぐ後に頭痛や激しい嘔吐、意識を失うなどの症状が出るものを急性硬膜下血腫と言います。一方で、頭の怪我の後にほとんど自覚のないまま過ごしてしまうのが慢性硬膜下血腫です。
慢性硬膜下血腫が怖いのは、自覚がなく受診しないまま症状が進んでしまうことでしょう。なかには、嘔吐やめまいなどの症状を自覚するまでに数か月かかることもあり、受診した時には重症となっていることもあります。一般的には受傷から1か月前後で発症することが多いです。

35髄膜炎

脳を包んでいる(被っている)膜を髄膜といい、くも膜や硬膜がそれに含まれます。その髄膜に炎症がおよぶと髄膜炎になります。
髄膜炎には先行感染といって風邪などの感染症が初めに出ておりその細菌やウイルスが髄膜に感染することもあります。発熱を伴うことが多く首の後ろを中心とした頭痛やこわばりが出やすく、首が回らない(動かすと痛い)のが特徴です。

4危険な頭痛を治療するには

慢性頭痛と呼ばれている片頭痛や緊張型頭痛では、病院を受診せずに市販の鎮痛剤などを飲みながら、普段の生活のなかで対処している方が少なくありません。しかし、慢性頭痛と呼ばれているそれらの頭痛に対して、危険な頭痛は急性な頭痛です。
つまり、急激に起こる危険な頭痛は、頭痛の元となる病気や脳内の異常なども急激に進行してしまうのです。急激に進行するということは、すぐに重症化してしまうとも言えます。
そのため、危険な頭痛が起こった際には、救急治療を受けることがほとんどです。
具体的には、緊急手術や緊急の投薬治療などが行われることになるでしょう。例えば、くも膜下出血では、破裂した脳動脈瘤に対して止血処置する手術(開頭術や血管内手術)を行うことになります。また、脳腫瘍では腫瘍の切除(開頭腫瘍摘出術)や抗がん剤などの投薬治療などを行うのが一般的な治療法です。
片頭痛や緊張型頭痛などの慢性頭痛(一次性頭痛)は、薬物療法が基本になります。一方で、危険な頭痛と呼ばれる二次性頭痛は、その原因である病気や脳内の異常に直接治療を行います。

5危険な頭痛はすぐに治療を!

危険な頭痛はすぐに治療を!

危険な頭痛の特徴は、頭痛の原因が明確に分かることです。脳腫瘍やくも膜下出血などによって強い頭痛が引き起こされます。危険な頭痛の原因となる病気や脳内の異常は多くありますが、それらに共通しているのが、「放っておくと命にかかわる」ということです。
いつもの頭痛とは明らかに違う痛みであったり、嘔吐や手足のしびれなどが同時に起こったりした場合には、すぐに病院を受診するようにしましょう。危険な頭痛とは、その名が表すとおり、命を脅かしてしまう病気の前兆であることが多いです。「頭痛持ちだから」と放置せず、救急外来へ駈け込むか、救急車を呼ぶことも検討してください。

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